こんにちは、ナスビーニョです。
今回は、ナスビーニョのポートフォリオの大半を占めており、絶賛含み損であるエースTMEの銘柄分析をしていきたいと思います。
はじめに
Tencent Music Entertainment(テンセント ミュージック エンタテインメント)はニューヨーク証券取引所に上場している音楽ストリーミングを提供している会社です。
SpotifyやApple Musicの中国版であると考えれば分かりやすいはずです。
主な主力サービスはQQ Music、Kugou Music、Kuwo MusicそしてWe Singです。おそらく中国在住でないと知らないサービスですが、これらは中国で圧倒的なシェアを取っています。
ちなみにTMEの概要についてはこの人がかなり詳しく解説してくれています。
https://news.yahoo.co.jp/byline/shibatanaoki/20190110-00110391/
最後の部分は有料ですが、それまでの部分でTMEの概要が掴めると思います。
読むのが面倒であるという方は下記の画像でTMEの歴史が分かります。
今回は、最新の決算結果を踏まえて記事を書いていこうと思います。
それではまずは、財務データから見ていきましょう。
1.財務データ
日付が少しバグっていますが、4半期ごとの決算データとなります。
31-Mar-18 | 30-Jun-18 | 30-Sep-18 | 31-Dec-18 | 31-Mar-19 | |
売上高 | 4,116 | 4,503 | 4,969 | 5,397 | 5,736 |
売上総利益 | 1,683 | 1,795 | 1,963 | 1,836 | 2,033 |
営業利益 | 873 | 962 | 986 | -1,035 | 1,147 |
純利益 | 840 | 903 | 964 | -876 | 986 |
売上高は前年比39.4%増となっています。
売上総利益は前年比20.7%増となっています。
純利益、営業利益が12月末決算での報告でマイナスになっていますが、これは一度きりのライセンスの支払いのためなので財務にそこまで影響を与えていないと見ていいと思います。
上記のグラフは四半期ごとのデータでしたが、次は年次推移を見てみましょう。
売上高・売上総利益ともにかなり伸びていることが分かります。
2016年創業時に比べると営業利益・純利益も出始めていることが分かります。
31-Dec-16 | 31-Dec-17 | 31-Dec-18 | |
売上高 | 4,361 | 10,981 | 18,985 |
売上総利益 | 1,232 | 3,810 | 7,277 |
営業利益 | 84 | 1,446 | 1,784 |
純利益 | 82 | 1,326 | 1,833 |
これからを期待できるのが財務データからもかなり分かると思います。
続いてキャッシュフローの状況を見てみましょう。
31-Dec-17 | 31-Dec-18 | |
営業CF
|
2,500 | 5,632 |
投資CF
|
-483 | -1,190 |
財務CF
|
99 | 7,741 |
営業CF+
投資CF-
財務CF+
となっています。ここから本業でキャッシュが入ってきており(営業CF+より)、更に資金調達が出来ていること(財務CF+より)が分かります。
また更に、それらのお金を使い、投資に回していることが分かります(投資CF-より)。
企業が成長するためには投資活動が必要となります。このキャッシュフローを見ても質の良い利益が上がっていることが確認できると思います。
また余談ではありますが、このパターンのキャッシュフローは成長期の企業によくみられるキャッシュフローとなります。
それでは財務データを一通り見たところで、続いて阿鼻叫喚の株価の動きを確認しましょう。
2.株価の動き
出典:Finviz.com
稲穂🌾でしょうか。いいえ、株価のチャートです。見ての通り、20日移動平均線が他の移動平均線を割っていて、誰がどう見ても強烈な売りのサインが出ています。
最近の米中貿易戦争に煽られてかなり売られています。
また悪材料としてはCo-Presidentの1人である、Xieさんが個人的な理由で辞めたことが少しあるかもしれませんが、それにしても売られ過ぎています。
ナスビーニョはホルダーなので、StockTwitsなどを常に見ていましたが、なぜ下がっているのかについて疑問を呈する声が上がっていました。
以下に、モメンタムのデータ載もせておきます。強烈な売りとなっています…泣
出典:Investing.com
3.TMEのここが凄いんだ
注目していただきたいのは財務データの素晴らしさもありますが、それ以外にあります。
参照:Western artists eye changing beat of China’s music market
これは、中国の音楽市場です。なんと78%の市場を現在独占していることが分かります。
下記のデータはTencent Music Entertainmentの月間利用者数と有料利用者数です。利用者数は前年比から微増となっています。
また、本命の有料利用者数は大幅に増加しています。
1Q19 | 1Q18 | 前年比 % | |
オンラインミュージック 月間利用者数(million) | 654 | 625 | 4.60% |
ライブストリーミング 月間利用者数(million) | 225 | 224 | 0.40% |
オンライン音楽 有料利用者数 (million) | 28.4 | 22.3 | 27.40% |
ライブストリーミング 有料利用者数 (million) | 10.8 | 9.6 | 12.50% |
またTMEが上場する際に提出した目論見書には以下の様なデータの記載がありました。
Form of prospectus disclosing information facts events covered in both forms 424B1 424B3
もちろんTMEが提出したデータなので、多少なりとも良いデータを持っているというのはあると思いますが、中国の音楽市場に少し期待してもいいのかもしれません。
ちなみに最後にはなりますが、Spotifyと株持ち合いをしています。SpotifyはTMEの約9.1%の株を取得しており、中国市場ではTencent Music Entertainmentに任せてもいいのではないかという意図も読み取れます。
4.TMEの不安なところ
不安なところは、やはりADRということでニューヨーク証券取引所に上場していることです。
ADRで流動性が高いのは良いところでもありますが、米中貿易戦争に巻き込まれるのは本当にもう御免です。
中国市場の成長鈍化が挙げられるのではないかと思います。音楽市場(デジタル)に関しては世界的に伸びている傾向があるのでまだ心配はないかと思いますが…。
最後に財務データが良すぎることも少し心配ではあります。過去に同じように中国のとある教育通信会社に投資をしたところ財務データを粉飾しているのではないかというような疑惑が出ました。
それでは最後にまとめをします。
Tencent Music Entertainmentは財務データはかなり良い状態。
株価については米中貿易戦争に巻き込まれ売られ過ぎている。
市場・TMEともに成長性があり、長期的にはこれからグンと伸びていくような会社である
※なるべく客観的なデータを使って記事を書くようにしていますが、ナスビーニョ自身がTMEを持っているということもありますので、投資をする際にはこの記事だけではなく、色々な情報を参考に投資をお願い致します。
もしTMEの売買する際の参考となれば幸いです!!