今回は、今年も話題になっていた学歴フィルターについて考えてみたいと思います。
学歴フィルターとは
大学名によって、内容の有無にかかわらず、応募者を採用・不採用に振り分けることである。
※学歴の本当の意味は「大学院卒・大卒・高卒」の違いを指すのであって、大学名の違いを指すのではありません。
本題に行きましょう。なぜ、企業は学歴フィルターを使いたいのでしょうか。それは、情報の非対称性が企業と応募者の間に存在するからです。
いくら、エントリーシートを書かせても、本人の能力を完全に知ることは出来ません。そこで、企業は大学名を本人の能力を代替させるものとして扱っているのです。
日本の大学入試試験がかなり難関であるのは、大学受験を経験している人であれば、分かると思います。偏差値30の人が東大に入るということはまずありえません。
そういった意味で、大学名はある程度、その人の能力を代替出来ていると言えるかもしれません。実際に能力の平均を取ると、東大が一番に来る可能性は高いと思います。
企業が学歴フィルターを使う理由は、個人の能力が分からないために、個人の属しているある集団の平均をもとに個人の能力を測りたいからです。
各大学の学生の平均的な能力を加味すれば、この大学以下の人材はいらない、という風な考えを企業は持ちます。実際これは、個人個人の能力を直接測る労力より、効率が良く、合理的なのです。
ただ、ちょっと待ったーーーと言いたい人がいますよね。
それは、フィルターにかけられた大学にいる能力の高い人たちです。彼らは、受験には失敗したかもしれないが、高い能力を持っています。そうした人が落とされないためには、どうすればよいでしょうか。
それは、自分の能力を表すシグナルをはっきりと伝えることです。企業が学歴フィルターを利用する理由はあくまでも情報の非対称性が原因なのです。企業に自分が能力が高いことを示せれば、何の問題もありません。
そこで、資格を載せたり、GPAを載せたりしてアピールするのですね。(大学名など関係ないということを示してあげましょう!)
このような集団の平均を加味して、その人を評価するというのは実際に他でも行われています。専門用語では、統計的差別と言われます。有名なものでは、アメリカの入学試験で行われている、アファーマティブアクションです。
これは、人種ごとの平均をとり、その平均を加味して、点数を評価するというものです。
例えば、アジア人は比較的優秀であることがわかっており、もしアジア人とその他の人種の人が同じ点数を取った場合、アジア人の点数は低く見積もられます。
統計的差別は、効率が良く、合理的だという一方で、している行為そのものは差別という側面は変わりありません。
最後に僕から質問です、こういった統計的差別はどこまで許されるのでしょうか?コメント・質問があれば何かお願いします。
今回はこれで終わりです。